米からできるもの、として私がすごく可能性を感じているもののひとつが、「酒かす」です。
酒かすは、日本酒を醸した後に残る絞りかすですが、
その中には、うま味成分やいろいろな栄養価が含まれています。
酒かすというと、「かす漬け」、「かす汁」、「酒かす甘酒」、などがイメージに浮かぶと思いますが、
実は私、この酒かす自体の独特な味と香りがあまり得意ではありません。
地元新潟では子供のころ、わが家のお味噌汁には酒かすが入っていましたが、
たまに酒かすのかたまりに当たると、ひどくテンションが下がっていました。
人によってはたまに、酒かすが大好きで、そのまま焼いて食べるのがおいしい!という方もいらっしゃいますが、
そのあたりはあまり共感はできず、、、です。。
そんな中、数年前に、お仕事で酒かすを使ったお料理を考案するという機会をいただきました。
酒かすを使って、酒かすだから美味しくなる料理、というと、
酒かすの味や香りがよく感じられるものとなりがちだと思うのですが、
それが苦手な私は、なんとか、そうではない方向はないのかといろいろなことを試しました。
まずは使い勝手について。
酒かすを同量の水と合わせてペースト状にしておくと、炒めものや煮込み料理など、
さっとすくえて量も量りやすいし、調理中もなじみやすく、とても便利です。
さてこれをどうお料理に生かそうか、というところですが、
ふとあることが思い浮かびました。
四川料理によく使われる、チュウニャン(酒醸)という調味料。
日本の甘酒に似た、甘みのある、料理に深みを加える調味料です。
正確には、チュウニャン(酒醸)は、日本の酒かすとは完全に同じではありませんが、
原料と、ペースト状にした状態がよく似ていました。
そしてそれが、四川料理のチリソースなど、辛味のある味つけに使われていたのを思い出しました。
まず思いうかんでいたのはエビチリです。
料理学校時代、中華料理の有名シェフの面々から教えをいただいた時のレシピを見返しました。
それをきっかけに、いろいろと検証してみると、日本の酒かすのポテンシャルを感じる発見がありました。
・油と相性が良いこと
・油と合わせて加熱すると、うま味調味料に変化すること
・油と合わせて加熱することで、特有のクセがやわらぐこと
油脂と合わせて加熱することで、グッと料理に深みを出す、天然のうま味調味料になる!と思いました。
試してみたのは、四川料理のエビチリ、回鍋肉、それ以外にも、普通の肉野菜炒めや、
洋風でもチキントマト煮、ミートソースなどなど。
どれも期待を裏切らない仕上がりになりました。
中でもエビチリは、中華料理に酒かす、というインスピレーションが浮かんだお料理。
わが家では酒かすを使うのが定番になり、年代問わず好評をいただくおすすめ料理のひとつです。
エビでなくても、鶏肉で鶏チリや、お魚でもメカジキやたらなどでも良いと思います。
機会があればぜひ試してみていただきたいなぁと思います。
【酒かすソースのエビチリ】
■えび(殻付きブラックタイガー) 12尾
A 塩 小さじ1/4
A 酒 小さじ1
A 片栗粉 大さじ1
■にんにく(みじん切り) 大さじ1
■しょうが(みじん切り) 大さじ2
■豆板醤 大さじ1/2
B 水200ml
B 鶏がらスープの素 小さじ2
B 酒かすペースト 大さじ3 ※酒かすを同量の水で溶いてペースト状にしたもの
B トマトケチャップ 大さじ3
B 砂糖 小さじ1
■長ねぎ(みじん切り) 1/4本分
■水溶き片栗粉(片栗粉小さじ1+水小さじ2)
■油
①えびの殻をむき、背ワタを取って、Aをまぶす。
②フライパンに油(大さじ1)を熱して①を炒め、焼き色がついたら取り出す。
③油(大さじ1)を足し、にんにく、しょうが、豆板醤を炒め、Bを加える。煮立ったら②を戻し入れ、
長ねぎを加えて1分ほど煮る。
④水溶き片栗粉でとろみをつける。